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第二十四回 労働安全衛生と化学物質管理

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針

平成4年の「化学物質等の危険有害性等の表示に関する指針(労働省告示第60号; 旧指針)」を改正・廃止して平成24年4月1日からこの指針(新指針)が施行されました。理解を助けるために、改正前後の指針本文とそれぞれの施行通達を併記した表を添付します。旧指針から20年が経過しましたが、この間に化学物質管理の仕組みが変わったことをを感じて頂きたいと思います。なお、表の指針本文は原文のまま引用しましたが、施行通達は本文と重複する部分などがありますので、趣旨を損ねない程度に整理して書き換えたことをお断りします。原文はどちらも厚生労働省のウェブサイトから参照できます。

指針の公表とともに改正の要点を記した施行通達が出ていますが、、ポイントは次の二点になるでしょう。第一にこれまでに法規制で明示されていない危険有害化学物質の危険有害性情報の表示・文書(SDS)による伝達が、旧指針の行政指導から事業者の努力義務となったこと、第二に危険有害性化学物質の判定はGHSに基づく事業者による評価に委ねられた(平成24年3月26日 厚生労働省告示 第150号)ことです。

これまでは(そしてかなりの部分は今でも)企業のコンプライアンス活動といえば法規制への対応でしたが、危険有害性の判定を事業者の責任としたことは、企業の社会的責任を重視したものと思います。危険有害性物質を法規制で特定するだけでなく、事業者にも責任があるとする考えかたは従来の法規制とは全く性格が異なります。

この考え方の背景には、法令で規制されない化学物質による労働災害・事故の発生が後をたたず、後追いの規制を加えるだけでは、事故災害の発生を現状から大きく減らし、最終目的であるゼロ災害を実現することはほとんど不可能と思われることにあります。また、化学物質の管理がハザード管理から化学物質の使い方を含めてのリスク管理に移行している中では、様々な態様で使用されている化学物質を事細かに法令で規制することが難しいことがあります。必要不可欠であって最終製品に残らず実害を生じない管理が可能である物質(特殊な溶剤などのプロセス用物質)を、高いハザードを理由に禁止すれば、リスクゼロにはできても同時に産業技術の停滞につながる可能性があります。それ故、労働現場での化学物質管理政策は、事業者がリスクを判断しながら適切な使用方法を選択する余地を残しました。

その考え方が有効になるためには、事業者がリスク評価のための危険有害性(ハザード)情報が的確に伝達されることが絶対の条件となるので、これを促進するために指針が改訂されたということができます(新指針には「促進」という言葉が入っていることに注意してください)。指針は労働現場で取扱う作業者を守ることを目的としていますが、化学物質による環境影響や製品の使用者への危害を未然に防止するうえで情報の伝達が重要であることは変わりません。

指針の改訂の要点をもう少し詳細に見ていきます。(表1参照)
既に記したように管理の基本は従来の労働安全衛生法とその特別規則に加えて事業者のGHSによる危険有害性の評価です。日本工業規格JIS Z 7253では、事業者自身が入手したハザードデータから危険有害性判定します。従って、同じ化学物質でも事業者により判断が異なることもあります。同じ(ような)製品を購入しても、作成者(供給者)によりSDSの記載内容がかわることがあります。自社試験で取得しないでも、インターネットやその他の手段でハザードデータの入手が可能となってきていますが、どのデータを判定に用いるかという点は事業者の判断です。事業者それぞれの最善の判断結果が異なることもあります。これは、法令で規制物質が指定されているときには起こらなかったことです。

一方、SDSの受領者の側でもリスク評価が必要になります。安全サイドにたって最も厳しい判断を採用すればそれでよしとすることもできませんし、逆に最も緩やかな判断を採用して、責任をSDSの発行者に転嫁することもできません。さらに、SDS記載事項は物質のハザードすべてを記述しているとはかぎりません。最善の努力をした上でも、それでもなお明らかになっていないハザードの可能性もあり常に情報のメンテナンスが必要になります。

SDSに即した化学物質の管理では、ハザード情報の提供側とともに受領側も化学品のハザードを的確に把握することが求められ、事業者間にハザード情報の処理能力の点で差別化が生じる可能性があります。適切な情報の提供と理解が事業者には求められ、そのためにサプライチェーンを通じた事業者間のコミュニケーションの重要性が増すのではないかと思われます。

1. 表示に関する事項; (表2参照)

新指針では表示する事項が明確になりました。労働者の安全と健康の確保が目的ですので、一般消費者用製品は指針の対象外で、薬事法や農薬取締法などの他の法律で規制される製品がそれにあたります。また、取り扱いの過程で固体以外にならずまた粉状・粒状にもならない製品も指針の対象外で、作業者への(特に吸入での)ばく露の可能性が低いと考えられることによるものでしょう。通常は化学物質の毒性といえばLD50で表現されるように、食べる飲むといった行為につながる経口ばく露を考えることが多いのですが、労働現場で考えるべきばく露経路はそれとは異なっているということができます。

SDSでもそうですが、表示に必要な項目と記載の要領はGHSのルールによることとされています。ただし、表示とSDSに必要な項目は異なります。

2. SDSに関する事項; (表3参照)

SDSの記載事項は具体的になるとともに増加しました。旧指針ではハザードが別表にありましが、GHSのシステムを採用したことで別表はなくなりました。事業者自身がハザードを判定し記載しなければならないことは既に記したとおりです。

旧指針では企業秘密として記載をしないでよかった規定が、新指針では削除されています。一般に安全と健康に関わる事項は企業秘密として秘匿すべきではない、というのが現在の社会的要求ですので、これを受けた結果でしょう。

SDSに関しては必ずしも化学品の譲渡・提供者だけに要求事項となっているわけではないことに注意してください。使用(購入)事業者も取り扱いの過程で事故災害がおこらないように、適切な表示とSDSの作成が求められています。ほとんどの使用事業者は購入時にSDSを受領していますので、それを利用することになるのでしょう。使用事業者は労働者の安全衛生教育にもSDSを使用することが求められています。

3. SDSの掲示に関する事項; (表3参照)

新指針では旧指針と同じく、作業現場へのSDSの掲示が求められていますが、現在のSDSは10ページ以上になることが多く、実際には作業現場への掲示にはあまり向いていないでしょう。そのため、指針にあるように印刷物として作業現場に備え付けるか電子的な手段で容易に確認できる仕組みにすることが実際的でしょう。しかし、どのような形にしても、SDSの記載内容が専門的で難しくなっているので、指針にあるように並行して安全教育の重要性が高まっていますが、その安全衛生教育を適切にできる人材を求めることも難しくなっているように思います。そのような人材の教育・育成が今後の課題でしょう。

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