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第二回 労働安全衛生と化学物質管理

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

安衛法の化学物質に関係する労働安全衛生対策は以下のように分類することができます。

  1. 基本的対策
    • A.労働災害防止計画
    • B.事業場の労働管理体制
    • C.健康管理、作業管理、作業環境管理
    • D.労働衛生教育
  2. 化学物質にかかわる健康障害予防対策
    • E.有害情報の伝達
    • F.化学物質の有害性調査
    • G.化学物質監理の適正化

最近は事業者の自主的な安全衛生活動を進めるためにこれに加えて、
3. 安全衛生に関するマネジメントシステムとリスクアセスメント
も重視していますが、現時点でこれは事業者の努力事項であり、指針の公表に留まっています。

安衛法は法人としての会社というよりも、「事業場」「事業者」に対して各種義務と責任を課しているのが特徴です。化学物質に関係する安衛法の条文を抽出すると以下のようになります。

1.基本的対策にかかわる規定について

A.労働災害防止計画;

厚生労働大臣は五年毎に労働災害防止計画を策定し、これに沿って、事業者に必要な勧告・要請を行うことができます。事業者の日常的な活動に直結するものてはありませんが、労働災害防止計画の背景を事業者が理解し、自主的に適切に対応することが必要でしょう。

B.労働安全衛生管理体制

① 各種管理者、推進者に関する規定
労働安全を確保するために事業場では、総括安全衛生管理者(法第10条)、安全・衛生管理者(法第12条)、、安全・衛生推進者(法第12条の2)、産業医(法第13条)などの選任制度を定めています。

C-1, 健康管理に係わる規定

① 健康診断に関する事項 (第66条 ~ 第66条の9)
有害な物質を日常的に取扱うなどの、衛生上特に有害な業務に従事する労働者は、特殊健康診断の受診が定められています。対象物質は、有機溶剤や特定化学物質などで、第66条第3項では、歯又はその支持組織に有害な物質を取扱う場合には、歯科医師による健康診断を定めています。
健康診断結果は日常的に有害な物質を取扱う作業者が、好ましくない影響を受けているかどうかを判断するの重要な指標です。作業者自身の自覚症状がなくても、健康診断結果に異常を認めれば早期に対応を取ることが必要です。

C-2. 作業管理に係わる規定

① 作業主任者に関する規定 法第14条
Bで記した各種管理者は、事業所の安全衛生管理体制で一定の権限と責任を有していますが、作業主任者は危険有害な作業に際して、作業現場で労働者の実務作業を指揮しながら安全衛生を守る役割を担っています。事業者は労働災害を防止するための管理を必要とする作業の区分に応じて作業主任者を選任しますが、それには資格が必要で免許の所持者あるいは技能講習を修了した者から任命しなければなりません。この作業主任者の職務は、現場で労働者の指揮その他の省令で定める事項を行うこととされています。

C-3. 作業環境管理に係わる規定

① 作業環境測定(第65条)
有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令(労働安全衛生法施行令第21条)で定  めるものについて必要な作業環境測定を行うことは事業者の義務で、結果を記録しておかなければならない、としています。化学物質に関係する有害な業務とは、特定化学物質、石綿等、コークス、鉛、有機溶剤等を、製造・取り扱う室内作業場の業務です。

② 作業環境測定の結果の評価等 (‘第65条の2)
事業者は、作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、施設又は設備の設置又は整備、健康診断の実施その他の適切な措置を取らなければならないとされ、作業環境測定の評価結果は記録しなければなりません。
事業場の中には作業環境測定は専門の業者に委託しているところあると思いますが、結果を受け取って保管するだけでなく、その結果がどのような状態を示しているのか、報告の作成者に確認し、必要であれば適切な措置を取らなければなりません。

2.化学物質にかかわる健康障害予防対策として

E.有害情報の伝達に係わる事項

① 第57条 表示等
爆発性の物、発火性の物、引火性の物その他の労働者に危険を生ずるおそれのある物、労働 者に健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるものには、容器又は包装に次の事項を表示しなければならない、とされています。
・ 名称、・成分、・人体に及ぼす作用、・貯蔵又は取扱い上の注意、・省令で定める事項
・ 厚生労働大臣が定めた取り扱う労働者に注意を喚起するための標章
原料の化学品を取扱う際に労働者が実際に容器や包装を目にするのであれば、表示を伝達できますが、例えば現場から離れたところのタンクに液体原料を受入れ、作業現場にパイプで送っているような場合は、事業者は取扱う労働者に危険有害性を伝える手立てをとらなければなりません。

② 第57条の2  文書(SDS)の交付
労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるものと第56条第1項の物(通知対象物)は、次の事項を相手方に通知しなければならないとされています。
名称、・成分及びその含有量、・物理的及び化学的性質、・人体に及ぼす作用、
貯蔵又は取扱い上の注意、・流出その他の事故の発生時の講ずべき応急の措置
厚生労働省令で定める事項
さらに第二項で記載内容の変更を行う必要が生じたとき(改訂版)は、…速やかに相手方に通知するよう努める、とされています。
SDSは労働安全衛生法だけでなく、化学物質管理促進法(化管法)、毒劇法でも、販売事業者に、配布を義務付けています。残念ながらそれが必ずしも100%の実施になっていないことを、労働災害防止計画が問題としています。また、SDSの改訂版の配付は努力義務とされていますが、安全な取扱いを確保するために、購入者は生産(販売)者に定期的に改訂版の配付を要求し、最新の版を保持することが望ましいでしょう。

F.化学物質の有害性調査に係わる事項

① 57条の3   有害性の調査(新規化学物質)
② 第57条の4   有害性の調査の指示
が有りますが、この二つは化学物質の生産者にかかわるものです。

G. 化学物質監理の適正化に関する事項

① 第28条  技術上の指針等の公表等
厚生労働大臣は、…・事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な業種又は作業ごとの技術上の指針を公表するものとする、とされています。第3項では、「次の化学物質で厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う事業者が当該化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針を公表するものとする。」とされており、対象は「がんその他の重度の健康障害を労働者に引き起こすおそれのある」物質です。
化学物質の慢性的なばく露から懸念される健康影響のうちでも、「発がん」が最も懸念すべき疾病と考えられてきました。現在もそれは変わりませんが、その他にも発達発生毒性などに注意しなければならないと考えられるようになっています。また、作業現場での女性労働者に対しては、特有の健康影響を配慮しなければなりません。

② 第55条 製造等の禁止
極めて有害性が強い物質には、製造が原則として禁止されるものや製造に当たっては事前に国に許可を受けなければならない物質があり、安衛法は「黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるもの」とされています。

③ 第56条 製造の許可
「ジクロルベンジジン(含有する製剤)、その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」とされています。

安衛法はすべての業務を対象として労働者の健康と安全を守ることが目的ですから、化学物質に限らず規制の詳細な部分は、政令(労働安全衛生法施行令)や省令(各種の特別規則)にあります。それとともに、指針・告示・通達が数多くありますので、法令遵守のために事業者と労働者は何をしなければならないか、ということを理解することが難しい法律ということもいえます。しかし、労働者の安全と健康を守るための基本的な考え方は、法律に明確に書かれていますので、それを理解すれば具体的な活動として何が必要であるのかは理解が容易になります。安衛法の条文の多くは、「事業者は…しなければならない」となっており、事業者(実行者は事業場の経営層)の責務が記されていますが、それとともに管理体制をつくり組織としての安全衛生活動が重要であることを指摘しています。世の中の数々の不祥事では当事者の不注意や配慮不足に原因を求めてそれを改めることで対策(再発防止)としていますが、それで十分でしょうか。組織の管理体制の不備や経営層の責任の所在が不明確であることが、不祥事の遠因となっているように思われます。安衛法は、個人の努力や注意ではなく、組織の力で事故・災害の未然防止を図ろうとしていることを理解しておくべきです。

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