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化学製品(物質)の輸出入業務と外為法 第3回

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

Ⅳ. 輸出貿易管理令 別表第一に関する規制

 今回から、化学製品が輸出貿易管理令の別表第一と貨物等省令でどのような規制を受けているかを見ます。第一回に記したように、外為法の規制は貨物の仕様だけでなく、仕向け地・需要者、需要者における用途などに係わっているので、該非の判定は輸出にかかわる書類にある記載内容を正確に知ることが求められます。メールマガジンでは貨物(化学製品)、特にそこに含まれる化学物質に焦点をあてて注意したい事柄に簡単に説明を加えますが、貨物の輸出令への該非判定は、貨物の仕様・需要者情報・これまでの取引実態等を考慮した輸出者ご自身の判断が求められます。
 別表第一は、第1項: 武器、第2項 原子力、第3項 化学兵器、第3項の2; 生物兵器、第4項; ミサイル、第5項; 先端材料、第6項; 材料加工、第7項; エレクトロニクス、第8項; 電子計算機、第9項; 通信、第10項; センサー等、第11項; 航法装置、第12項; 海洋関連、第13項; 推進装置、第14項; その他、第15項; 機微品目で、第16項は補完品目で第16項までの製品群でスペックダウン品、と区分されています。

Ⅳ-1 別表第一の第1項(武器)

 国際輸出管理レジームとしては、ワッセナーアレンジメント軍需品リスト(ML)(但し一部は第15項)に対応しています。この項は16品目に区分されていますが、化学製品(物質)と関係するのは以下の品目でしょう。この項は貨物等省令には仕様の記載がありませんので、解釈通達によって該非を判定します。
(3) 火薬類・軍用燃料
 火薬類取締法の火薬、爆薬又は火工品がこれにあたるとされていますが、解釈通達でも火薬類取締法でも、物質名称として挙げられているものは少ないのですが、物性等から判断して硝酸塩・硝酸エステル・雷こう、アジ化鉛・カーリツト・塩素酸塩・過塩素酸塩・ニトロ化合物などがこれにあたる可能性があります。JCDBのリストにはこれに該当する物質が収載されていますが、主に爆薬として用いられるものが多いので、異なる用途であることが明らかな場合を除いて、輸出許可を求めるほうが良いでしょう。
(4) 火薬又は爆薬の安定剤
 解釈通達にある14物質の多くはWAの軍需品リスト((ML)に収載されています。この物質群の用途は火薬・爆薬の安定剤だけとは限りませんので、需要家の用途確認が必要で、その用途に使用されることがわかっていれば経産省の許可が必要になります。
(13) 軍用の細菌製剤、化学製剤若しくは放射製剤
 解釈通達では、21種の化学物質があり、全て化学兵器禁止法の特定物質・毒性物質です。WAの軍需品リスト(ML 7)の化学戦用化学製剤(3種)、化学戦用の糜爛性ガス(サルファマスタード類9種、ルイサイト類3種、窒素マスタード類3種)の全てが含まれています。これらは専ら軍用化学製剤として用いられる物質群で、当然輸出許可を必要としますが、化学兵器禁止法の特定物質は製造・使用では国から許可が義務付けられているので、事業者が知らずにあるいは誤ってこの項の物質を輸出することは考えられません。無許可の輸出は意図的に行ったものと見なされる可能性が高いでしょう。
(13の2) 軍用細菌・化学製剤の浄化用化学製剤
 物質名の例示がありません。需要家の目的がこれに当たることがわかっていれば該当と考え許可を申請することが適当でしょう。軍需品リスト(ML-7 b f2)にも具体的な物質名は挙げられていません。
 第1項に限らず別表第一の規制への対応として重要なことは、用途がわかっているかあるいはそれに用いられる可能性が高いか否かということですので、需要家のホームページ等で軍との取引や武器の生産の有無を調べることも一つの方法です。

Ⅳ-2 別表第一 第二項(原子力)

 第2項(原子力)から第4項(ミサイル)までは、「大量破壊兵器」と分類される区分で、他の項の貨物に比べて注意が必要です。この項は国際輸出管理レジームとしてはNSG(原子力供給国会合)に対応しています。核燃料物質・核原料物質としての特徴である放射性同位元素が天然の存在比以上に濃縮されたものや原子炉等に用いられる材料が挙げられているので、汎用の化学物質が気づかずにこの区分に該当する可能性はあまり無いでしょう。

Ⅳ-3 別表第一 第三項 (化学兵器)

この項目と次の項目(第三項の二)は、AG(オーストラリアグループ)に対応しています。
(1) 軍用の化学製剤の原料となる物質として、24種の物質があります。30%を超える含有量の混合物は該当します。貨物等省令に挙げられている物質群は、オーストラリアグループ*で規制の対象ではあるが化学兵器禁止条約(CWC)で取り上げられていない物質群で、化学兵器の原料物質として使用される物質ということができます。そのためCWCの規制物質よりも汎用性が高く、化学兵器禁止法の規制をうけていないので注意が必要です。
(参考) オーストラリアグループ(AG)*: AG参加国は生物・化学兵器不拡散を目的として、自国の輸出管理をより有効なものとする。化学兵器禁止条約(CWC)のような法的拘束力はもっていない。またCWCの規制品目と重複する部分もあるが、AGはCWCに比べ化学兵器の前駆物質の規制にひろげていることが特徴。
(2) 軍用の化学製剤と同等の毒性を有する物質
 化学兵器禁止法の毒性物質の7種です。第一種指定化学物質の3種は1%を超える濃度で、第二種指定化学物質4種は30%を超える濃度で該当です。
(3) 軍用の化学製剤と同等の毒性を有する物質の原料となる物質
 化学兵器禁止法の原料物質です。特定物質の5種は閾値がないので混合物は全て該当と考えることができます。第一種指定物質11種は閾値が10%。第二種指定物質(13種)は閾値が30%です。

Ⅳ-4 別表第一 第三項の二 生物化学兵器

 この項では化学製品に直接関係する事項はありません。

Ⅳ-4 別表第一 第四項 ミサイル

 国際輸出管理レジームとしてはMTCR(ミサイル関連貨物技術輸出規制)に対応しています。化学製品(物質)として対応するものは以下のものと考えられます。
(7) ロケットの推進薬又はその原料物質
 21種の化学物質が上げられていますが、形状が指定されているもの(ホ、ヘ、ト)、燃料用と指定されているもの(チ)が有ります。制約なしには17種の化学物質が挙げられているということができます。ヒドラジン類とその塩や液体酸化剤(ヌ)、ニトロ化合物(ム~コ)などは比較的物質群として特定しやすいのですが、高分子化合物類(ル~ネ)は汎用性も高く、該当の要件である末端基の分析も容易でないので注意が必要でしょう。高分子の化学構造の特定は決して易しい作業ではなく、高分子のCAS番号は必ずしも一義的に与えられているとは限らないので、CAS番号がメーカーから開示されていても、その番号だけから非該当であることを決められない場合もあります。生産者自らが輸出するのであれば別表一への該非判定は容易ですが、購入品では化学構造を正確に知って判定をするか、生産者に該非の確認を行っておくことが望ましいでしょう。但し生産者の該非確認を受けても、輸出者の責任は回避されるわけではありませんので、構造のわからない化学物質を輸出することは、それだけリスクを負っていることを承知して、できれば避けるほうが賢明でしょう。なお、この項番の規制はこれらのポリマーを使用した成型品にまで及ぶものではありません。

 次の項番から第14項までは、国際輸出管理レジームとしては、ワッセナーアレンジメント(WA)に対応しています。対象の貨物・技術はWAのデュアルユースリストに挙げられています。WAの各カテゴリーはA; システム・装置及び部分品、B; 試験用、検査用および製造用装置、C; 材料、D; ソフトウェア、 E; 技術と付属書があります。貨物等省令の表現はわかりにくい部分もあります。WAでは注意(Note)、あるいは技術的注意(Technical Note)で示されている部分が省令では本文に取り込まれていてどの部分まで注意がかかっているのかわかりにくい場合もあり同じ注意が繰り返し出てくるなどの点で、貨物等省令には読みづらい部分があります。貨物等省令とWAのリスト内容が完全には一致としていない部分もありますが、CISTECのホームページにWAリストの日本語訳がありますので、これを参考にすることかぎできます。

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