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化学製品(物質)の輸出入業務と外為法 第2回

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

Ⅲ. 輸出に関する規制

 輸出に関する規制の概要から見ていきます。貨物の仕様が明示されている規制製品を無許可・無承認で輸出しないようにするだけではなく、事業者は自主的な管理と判断でこの法律の目的に沿った事業活動を行うことを外為法は求めています。外為法は、貨物の仕様だけでなく、仕向け地や需要者あるいは数量、輸出者の知る需要者の用途などで、規制の内容を定めています。貨物の該非判定は一般論で割り切ることも難しく、貨物ごと・取引ごとにケースバイケースの判断が必要になることがあります。そのため、取引の全様を知っている輸出者自身の責任による、許可・承認申請の要否判断が重要です。そして、少しでも疑念があれば当局(経済産業省)に相談することをお勧めします。

Ⅲ-1. 輸出規制の種類

 外為法第48条は、「特定の地域を仕向地」とする「特定の種類の貨物」については、事前に政府(経済産業省)の許可を必要とするとしています。具体的には「輸出貿易管理令の別表第一中欄の貨物を、同表下欄の地域を仕向け地とするとき」には、輸出の許可が必要です。また、「別表第二中欄の貨物を同表下欄の地域を仕向け地とする場合」と、「北朝鮮を仕向け地とする別表第二の二の貨物」では輸出の承認が必要になります。仕向け地には、全地域の場合もあれば特定の国・地域だけに限られているものもありますので、どこのどんな需要者に輸出するのかを承知して置くことは重要です。
また、別表第二の28~33の項の中欄に掲げる貨物(農林水産物)は主務官庁である農林水産大臣の同意が必要とされているように、他の法令で輸出の許可、確認、免許等が定められている場合もあります。
外為法で許可を必要とする貨物は、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるもので、原則的には輸出が禁止されていると理解することができます。そのため「許可」が下りるまでに予想外に時間を要したり、「許可」が下りない場合もあるので、結果として輸出を断念しなければならない場合もあります。「承認」を必要とする貨物では、書類が完備していれば多くの時間を要しないので、「許可」の貨物と「承認」の貨物の間には、大きな差異があるということができます。

Ⅲ-2. 輸出規制の方法

 輸出令別表第一の貨物の規制には、大きく分けてリスト規制、キャッチオール規制、通常兵器補完的輸出規制の三種類が有ります。

Ⅲ-2-1. リスト規制

輸出令別表第一にある第1項から第16項までのうち第15項までがリスト規制の対象です。
品目の詳細な仕様は「貨物等省令」に定められています。製造者自身による貨物の輸出では該非判定は比較的容易、というよりもこれができなければ困りますが、他社品やそれを一部に含んだ貨物の輸出では難しい場合もあるでしょう。その場合には、その部分の該非判定は製造者に確認することになりますが、最終的な責任は輸出企業が負わなければならないので、仮に生産者による該非判定が誤っていたとしても判定者に責任を転嫁することはできないと考えるべきです。法令違反とされたときの制裁の影響を考えると、仕様がよくわからない貨物の輸出は避けることが賢明ということができます。

リスト規制貨物は武器や兵器の製造に使用される可能性が高いもので、対象の仕向け地は全地域です。中でも大量破壊兵器とされている原子力関連(第2項)、化学兵器関連(第3項)、生物化学兵器関連(第3項の2)、ミサイル関連(第4項)には特に注意が必要です。

Ⅲ-2-2. キャッチオール規制

 輸出令別表の第16項の貨物で、大量破壊兵器の製造に用いられるおそれのあるものが、キャッチオール規制の対象です。対象の仕向け地は、ホワイト国 (米国、カナダ、EU諸国など、輸出管理を厳格に実施している国)を除く全ての国と地域です。大量破壊兵器に使用される可能性があれば、政府(経済産業省)の許可が必要ですが、その名称のとおり可能性があれば「全て」を規制の対象とするもので、製品の仕様と需要者に関する情報をもとに、輸出者の適切な判断が求められます。
経済産業省はキャッチオール規制の該否判断には次の要件があげています。
・用途要件:大量破壊兵器や通常兵器の開発に使用されるおそれがあるかどうか
・需要者要件:大量破壊兵器の開発などを行っている(行った)かどうか
・インフォーム要件: 経産省から許可を受けるように通知を受けている場合

用途要件は大量破壊兵器や通常兵器の開発に使用することが、貨物の発注時点で明らかになっていれば判定は容易ですが、必ずしもそうでない場合が多いでしょう。
需要者要件(需要者要件と用途要件を合わせて客観要件といいます)では、仕向け地だけでなく、経済産業省が懸念のある需要者を「ユーザーリスト」として公開していますので、その中にある企業が最終の需要者でありその製品が懸念分野に用いられる可能性があるときは許可を求めることになります。ユーザーリストには、ユーザーの名称だけでなく、どのような分野の大量破壊兵器に関係しているかどうかの情報も記載されています。ダミー会社などからの発注で最終需要者がわからない場合には可能な限り情報収集の努力を試みるほうがいいでしょう。外為法は必ずしも輸出者に対して、徹底的な調査を義務付けてはいませんが、法律の目的や事業者の社会的な責任あるいはトラブルに巻き込まれたときの対応の煩雑さなどを考えれば、客観要件に不明点がある場合には、その取引を断念することも企業のリスク管理として選択肢になる場合もあるでしょう。

インフォーム要件は、その貨物に対して経産省から許可申請をするように通知を受けることです。上記の二要件に関して事業者の調査が十分でなく、該非の判断に必要な情報が不足していることから通知を受けるケースがその例です。インフォーム(通知)を受けた段階では法令違反ではありませんが、解決するまでは輸出作業が停止します。インフォームを受けないで輸出し、結果として外為法違反であることが事後にわかった場合でも、責任は輸出者に帰せられることに注意してください。
キャッチオール規制は、大量破壊兵器製造技術と平和的民生用途に用いられる技術の間の障壁が極めて低くなっていることで導入された規制です。経済産業省のパンフレットには、炭素繊維が懸念用途としてミサイルの構造部材に用いられる一方、民生用途としてはゴルフクラブのシャフトに用いられること、同様に冷凍凍結乾燥機が生物兵器の細菌の保管とインスタントコーヒーの製造に、トリエタノールアミンが化学兵器とシャンプーに、高性能の工作機械がウラン濃縮分離用の遠心分離機と自動車製造に用いられることが例示されていますが、そのほかにも、民生用製品の技術革新が進み大量破壊兵器の開発・製造を可能とするまでに性能を向上させていった結果は無数にあるといっていいでしょう。

Ⅲ-2-3通常兵器補完的輸出規制

 この規制の対象も別表第一の第16項の貨物ですが、キャッチオール規制と異なり対象の仕向け地は、国連武器禁輸国(国連の安全保障理事会の決議により武器の輸出が禁止されているイラク、北朝鮮、アフガニスタンなど)です。
輸出貨物については仕様を十分に理解して該非判定を行いますが、自信がもてない場合・よくわからない場合や判定が難しい場合には、厳密性を欠く判断をしないで、経済産業省やCISTECに相談することをお勧めします。

Ⅲ-2-3. 輸出承認(別表第二関係)

兵器に関係する輸出令別表第一とは別に、輸出承認を受ける対象貨物が別表第二に示されています。化学製品(物質)には条約・海外との約束事項あるいは国内の法規制対象である有害化学物質が別表第二に挙げられています。別表第二の化学物質と化学物質規制法規との関係については、個別に見ていくことにします。

【ここまでのまとめ】

外為法の輸出規制への適切な対応は、1. その製品の用途、2. その製品の仕様、3. その製品の需要者、を知ることから始まる。

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