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第二十六回 労働安全衛生と化学物質管理

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

2014年の労働安全衛生法の改正

2014年6月に労働安全衛生法が改正され、化学物質管理では事業者に、「一定の危険性・有害性が確認されている化学物質」のリスクアセスメントが義務化されました。対象物質は労働安全衛生法の定めるラベル表示・通知対象物(混合物は労働安全衛生規則の別表第三を参照)で、SDSの交付を義務付けているものです。リスクアセスメントでは、危険有害性の情報と使用実態(ばく露)の把握を必要としますが、前者にはSDSの情報を利用することになります。厚生労働省はこれまでも指針の公表などでリスクアセスメントの普及を進めてきましたが、現実は必ずしもそれが定着した状態になっていないという認識にあります。

発がん性などの重篤な健康影響が懸念される化学物質は、特別規則で管理・取扱方法を詳細に定め、労働災害の予防を図ってきましたが、特別規則の対象となっていない未規制物質に起因する事故災害の発生も多く、事業者による自主的な管理活動も重要であることが指摘されています。未規制物質に長期間にわたり高濃度でばく露したことが原因で、胆管がんが発症した可能性が高いと考えられた労働災害は法改正のきっかけの一つになりました。未規制物質に起因する事故災害が起こるたびに後追いで規制物質に追加することは、未然防止には必ずしも十分ではないことは容易にわかります。そのため、事業者の自主的な活動を進めるために、これまでの努力義務よりも強く「義務化」を事業者に求める今回の改正になったものと思います。

今回の改正で事業者に求められることは以下の3点です。

  • ① リスクアセスメントの対象物は表示義務の対象物と通知対象物
  • ② 新規に採用する場合にリスクアセスメントを実施する
  • ③ 特別規則で規制されていない物質にも、リスクアセスメント結果に基づいて、危険または健康障害を防止するための必要な措置をとるように努める。

リスクアセスメントが有効に実施されるために、厚生労働大臣は指針を公表し、必要な指導・援助等を行うことや、コントロールバンディングやチェックリストなどの支援ツールを提供することが考えられています。

①ではおよそ640物質が対象となりました。現在、流通する化学物質は数万種あるといわれていますので、それに比べれば少ないように見えますが、この化学物質は比較的汎用性が高く流通量も多いので、一定の効果が期待できます。この措置の対象物質でなくても「危険有害性」と判断されたものは「特定危険有害性物質」として、SDSの配付を努力義務としていますので、このような事業者の自主的な活動が広がればさらに多くの種類の物質についてリスクアセスメントが実施できることになります。

②では法律は「新規に採用する場合等」にリスクアセスメントを義務付けていますが、 化学物質のリスクの要因となるばく露量は取扱方法や量によって変わるので、取扱条件が変わったときもまたリスクアセスメントが必要ですし、新たな有害性がわかったときにもリスクアセスメントが必要になるでしょう。一度リスクアセスメントを行えば、新たな情報を追加して再度リスクアセスメントを行うことはそれほど難しいことではないと思います。

③ にあるリスクアセスメント結果を危険または健康障害を防止するための措置につなげることは、努力義務に留まっています。リスクアセスメントは安全を守るための手段であって目的ではありませんから、結果を参考として安全性を高めることが必要であることはいうまでもありません。

このように、今回の法改正の延長上には、リスクアセスメントとそれに続く対策の両方で、事業者の自主的管理活動が強く望まれていることがわかります。

リスクアセスメントの手法には色々な方法が提案されていますが、厚生労働省のホームページにある支援ソフトからはばく露・発散防止策として必要なものが出力されます。ここにある手法は、特別規則が求めるものと基本的には同じものですので、特別規則の要求事項を参考として現状の課題を把握しながら事業者が必要な対策を取ることができるでしょう。この支援ソフトはより毒性の低い化学物質の入力や取扱量を少なくすれば、リスク低減に効果的な結果を出力しますが、一度採用した化学物質を代替物に変更することはプロセスの特性上は極めて難しいことが多く、またこれから生産を拡大しようとするときに、使用量を減少させることも難しいので、労働者へのばく露の最小化による健康障害の予防が現実的な対応になるでしょう。それには、使用する化学品の揮発性や揮散性に関連した物理的特性の理解が必要になります。

厚生労働省は、改正の趣旨説明の中で、中小企業ではリスクアセスメントが浸透していないことを課題としていますが、これは必ずしも中小企業に限った問題ではないでしょう。化学物質に起因する労働災害は化学品を購入・使用する業種で多発していることを厚生労働省の統計が示していますが、化学物質の特性や毒性に関する教育・訓練を受けている専門家がこれらの業種では十分でないことが、その背景にあるのではないかと思います。

リスクアセスメントの結果から十分に適用可能な手法が選択できるとは限りません。むしろ様々な制約の中で、実際にはリスクを残して取扱わざるを得ないときの方が多いのではないでしょうか。そのときには、専門家の協力を得ながらいかにして許容可能なレベルまでリスクを低減するかということを判断することが必要でしょう。労働者の健康に直結する課題ですので、よくわからないままに現実に妥協した素人判断で対策を考えることは好ましくありません。

習熟するまではリスクアセスメントにはとっつきにくいところがありますが、リスクアセスメントを試みる過程で、取扱う化学品の物理的・化学的特性や有害性を再認識することは、化学物質に起因する事故災害の予防につながるでしょう。

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