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第十七回 労働安全衛生と化学物質管理

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針、危険性又は有害性の調査の指針および化学物質等による危険性又は有害性等の調査に関する指針

前回は化学物質管理指針を説明しましたが、その中の実施事項には、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)に関するものがあります。
マネジメントシステム(MS)を用いた管理活動は、品質管理に関するISO 9000シリーズに始まり、事業活動のさまざまな分野に広がっています。OSHMSはISO規格ではありませんが、労働省は日本の実態に即したものを平成11年に公表しました。(平成11年4月30日 労働省告示第53号、改正; 平成18年3月10日 厚生労働省告示第113号)
これに続いて、労働現場における危険性・有害性の調査に関する指針と、化学物質の調査の指針を公表しました。この二つの指針は「調査」の指針となっていますが、内容は実質的に「リスク評価と管理」を求めています。
説明にあたっては指針の項目を原文の順序で引用します。厚生労働省の文書に特徴的な「……等」という表現の多用や、言葉の重複使用があって多少読みにくい部分があるので、主旨を損ねない程度に簡略化しました。詳細な適用範囲や適用除外の条件等は、原文を参照してください。誤解のおそれの無い部分でし、原文の「危険性又は有害性」という言葉は「ハザード」に置き換えてあります。

1. 労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針

化学物質管理に関係する部分では、第一条(目的)で「事業者が労働者の協力の下に、一連の過程を定めて継続的に行う自主的な安全管理活動を促進することにより、……事業場における安全衛生の水準の向上に資する……。」とし、第10条で、危険性または有害性等の調査及び実施事項の決定することとしています。第15条(日常的な点検、改善等)と第17条(システム監査)で、事業者に事業場の安全衛生管理活動の責務があることを明確にしています。
安全衛生活動はとかく現場任せになりやすく、事故や災害などの問題が発生すると、現場の不注意やルール違反などの直接的な原因を求めてそこに対策を施すことが多いのですが、MSでは組織として問題を考えることを基本としています。現場の活動だけで事故・災害を予防することには限界があり、組織全体の取組み、さらには組織の経営層がどれだけこの問題に「本気」であるのかという点が重要になります。マネジメント活動を導入すると日常的な文書や記録の作成とそれの保管・メンテナンスや定期的な監査があり、かえって現場は手間が増えるだけ、という声が上がったこともありますが、そのような仕組みは組織としての活動を進めるために必要で、組織の経営層がそのような文書や手順を用いて安全衛生活動を経営活動の一環として関われば、その作業を補って余りある成果をもたらすことが期待できます。

2. 危険性または有害性等の調査に関する指針と化学物質等による危険性又は有害性の調査に関する指針

OSHMSに関する指針を受けて、「危険性又は有害性等の調査に関する指針」が平成18年3月10日に公示第1号として公表されました。この指針は新たな機械設備・化学物質の導入で、労働災害の原因が多様化し、原因の把握が困難になっていることから、事業者がハザードを調査し、予防的に対策を講じることを求めており、OSHMSの具体的な実施事項と位置付けられています。同じ日に指針公示第2号として、「化学物質等による危険性又は有害性の調査に関する指針」が公表されました。化学物質に関する指針としてはこちらのほうが関連性が高いので、ここではこの指針を見ていきます。

  1. 趣旨
    労働安全衛生法第28条の2 第2項に定められている事業者によるハザード調査の基本的な考え方と実施事項について定めたもので、その適切かつ有効な実施で事業者による自主的な安全衛生活動への取組を促進することを目的としています。
  2. 適用
    この指針では、労働者の就業に係るすべての化学物質が対象です。それまでは労働現場における化学物質の管理は法令遵守が主体で、法規制対象物質の管理に事業者の活動が注力されていましたが、この指針ではそれに留まらず全ての危険有害性を持つ(ということはほとんど全ての)化学物質が対象です。指針の公表時には、「危険有害性を持つ」ことの意味が必ずしも明確ではありませんでしたが、その後GHSの考え方の導入で明確になりました。
  3. 実施内容
    • (1)化学物質によるハザードの特定
    • (2)(1)で特定された化学物質のハザードから生ずるおそれのある負傷・疾病の重篤度と発生する可能性の度合(リスク)の見積り
    • (3)(2)で見積もられたリスクを低減するための優先度を設定しリスク低減措置内容を検討
    • (4)(3)の優先度に対応したリスク低減措置の実施
    実施内容を見れば、化学物質管理がハザードベースからリスクベースに変わったことがあきらかです。
  4. 実施体制等
    • (1)事業者は、次に掲げる体制で実施する。
      • ア 総括安全衛生管理者等、事業の実施を統括管理する者(事業場トップ)に実施を統括管理させる。
      • イ 事業場の安全管理者、衛生管理者等に実施を管理させる。
      • ウ 必要な能力を有する者のから化学物質等の管理を担当する化学物質管理者を指名し、安全管理者、衛生管理者等の下で技術的業務を行わせる。
      • エ 安全衛生委員会、安全委員会、衛生委員会の活用で労働者を参画させる。
      • オ 実施では化学物質管理者のほか、化学物質や機械設備について専門的知識を有する者を参画させるよう努める。必要に応じ化学設備の特性を把握している者、の参画を求める。
    • (2)事業者は、(1)で定める者に実施するために必要な教育を実施する。
    • 指針の実施体制は労働安全衛生法の安全衛生委員会等の体制と整合されています。
    • 実施時期
      • (1)事業者は、次のアからオに掲げる作業等の時期に調査等を行う。
        • ア 化学物質に係る建設物を設置・移転・変更・解体するとき。
        • イ 化学設備に係る設備を新規に採用・変更するとき。
        • ウ 化学物質である原材料を新規に採用・変更するとき。
        • エ 化学設備に係る作業方法・作業手順を新規に採用・変更するとき。
        • オ その他、以下の事業場におけるリスクに変化が生じ、又は生ずるおそれのあるとき。
          • (ア) 化学物質に係る労働災害が発生した場合で、過去の調査等の内容に問題がある場合
          • (イ) 化学物質によるハザードに係る新たな知見を得たとき。
          • (ウ) 前回の調査等から一定の期間が経過し、機械設備等の経年による劣化、労働者の入れ替わり等に伴う労働者の安全衛生に係る知識経験の変化、新たな安全衛生に係る知見の集積等があった場合
      • (2)事業者は、(1)のアからエに掲げる作業を開始する前に、リスク低減措置を実施することが必要であることに留意する。
      • (3)事業者は、(1)のアからエに係る計画を策定するときにも調査等を実施することが望ましい。

指針の調査等の実施時期はこのように例示されていますが、プロセスの小規模な変更は特に多品種少量生産や、同一ラインで複数製品が生産される場合には頻繁に行われるもので、定期的で継続的に実施することが望ましいでしょう。
(来月号につづく)

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