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第十二回 労働安全衛生と化学物質管理

日本ケミカルデータベース株式会社
コンサルタント 北村 卓

健康有害性を持つ化学物質からの健康障害を防止する ための指針類  - がん原性物質と変異原性物質 -

これまでは、労働安全衛生法と政省令の説明をしました。省令(特別規則)には、労働衛生に関してこの他にも石綿障害予防規則(石綿則)、鉛中毒予防規則(鉛則)、四アルキル鉛中毒予防規則(四アルキル鉛則)、粉じん障害予防規則(粉じん則)、電離放射線障害予防規則(電離則)、酸素欠乏症予防規則(酸欠則)などがあり、「化学物質」と多少なりとも関連しますが、いずれも限られた職場で考慮する事例と思われるので、本稿では解説を割愛し労働安全衛生法に基づいて発せられている化学物質の取扱いに関する各種指針類を説明します。

指針にあることは政省令と異なり、罰則のある法規制ではなく、そのことが理由で行政処分の対象にはなることもありませんが、化学物質を安全に取扱うためには重要な事項が指摘されており、事業者と取扱う労働者は政省令と同様に理解し実行することが必要です。これらの指針の対象物質には有機則や特化則の対象物質と重複するものもあり、これらの特別規則で定められている設備や施設での対策を適切に実施していれば、指針の内容に即して対応していることになります。また重要なことは、化学物質の有害性に関してはまだまだわかっていないことも多く、省令や指針の対象物質にかぎらず、すべての化学物質に対して同等以上の対策を施すことと思われます。

労働安全衛生法の第57条の3から第57条の5では化学物質の安全性の調査に関する事項が記されています。第57条の3では、新規化学物質を製造・輸入しようとする事業者は有害性の調査結果を添えて届出をすると定められており、新規物質の有害性調査は事業者の責務ですが、必ずしも網羅的な有害性調査が義務付けられているわけではありません。第57条の5では、「国は事業者の有害性調査を支援するとともに、国自身も有害性の調査を実施するよう努める」とあり、既存化学物質の有害性の調査は国の責任となっています。また、第57条の4ではがんその他の重度の健康障害のおそれがあるときには、製造・輸入・使用する事業者に有害性の調査を行い結果を報告することを指示できる、とされていますが、労働安全衛生法の仕組みでは、どの事業者がどんな既存化学物質をどのくらいの量を製造・輸入しているかということはわかりませんし、がん原性のように多額の費用を要する試験は事業者にとって大きな負担となるので、実際に指示された例はありません。もし、特定の事業者にがん原性試験の実施が指示されれば、おそらく事業者は多くの場合は、その物質の生産中止を選ぶのではないでしょうか。

国と事業者で実施された有害性の調査結果から、第28条の第3項は「がんその他の重度の健康障害を労働者に生ずるおそれのあるもの」については、国が技術上の指針を公表する」ことになっており、重度の健康障害のおそれとして、がん原性と変異原性が対象となっています。

がん原性については、「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針」として、個々の物質について逐次指針が公示されていましたが、平成23年10月28日の指針公示21号で、新規の8物質を加えて一つの指針にまとめられ、さらに平成24年10月10日の指針公示第23号では前年の指針を廃止して、2-アミノ-4-クロロフェノール(CAS番号95-85-2)、1-ブロモブタン(CAS番号109-65-9)を加えて現在は28物質(群)を対象とする指針になりました。

変異原性物質は、「変異原性が認められた化学物質等の取扱いについて」という通達があり、それとともに、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための指針」が出されています。平成5年5月17日の基発第312号の3から毎年1~2回の追加改訂があり、最新は平成24年12月11日の基発1211第4号です。現在は新規化学物質として105物質が、既存化学物質として52物質が強度の変異原性を有する物質とされています。新規化学物質が高リスクであるかのように見えますが、新規化学物質の届出には変異原性試験結果の報告が義務付けられていることが理由と考えられます。

がん原性物質および変異原性物質に対する二つの指針は、内容がほぼ同じでばく露低減措置、作業環境測定、労働衛生教育、危険有害性等の表示・通知、.労働者の把握を求めています。

Ⅰ. ばく露低減措置

対象化学物質の取扱い実態に応じて、危険性・有害性等の調査を実施し、ばく露低減のために、作業環境管理・作業管理で必要な措置を講じます。

  • 作業環境管理では、使用条件等の変更、作業工程の改善、設備の密閉化、局所排気装置等の設置が有ります。
  • 作業管理では、ばく露しないような作業位置・作業姿勢・作業方法の選択、呼吸用保護具・保護衣・保護手袋等の保護具の使用、ばく露時間の短縮などが求められており、がん原性物質では、それに加えて作業指揮者の選任が必要です。
  • ばく露低減のための装置等を設置した場合には、その装置の適正管理が必要になります。
    1. 局所排気装置等は、作業時に適正に稼働させ、定期的に保守点検を行う
    2. 作業場外へ排出する場合は、排気、排液等による事業場の汚染の防止を図る
    3. 保護具は、同時に就業する労働者の人数分以上を備え、有効かつ清潔に保持する。労働者に送気マスクを使用させたときは、吸気口の位置を選定し有害な空気を吸入しないようする
  • さらに次の事項の基準を定め、これに基づき作業させます。
    1. 設備、装置等の操作、調整及び点検
    2. 異常な事態が発生した場合における応急の措置
    3. 保護具の使用

Ⅱ. 作業業環境測定

がん原性及び変異原性物質の中で、特化則・有機則の対象物質の作業環境測定は、特化則・有機則の規定に準拠して実施し、測定記録と評価結果の保存期間は30年とされています。

変異原性物質とがん原性物質で、作業環境測定法が開発されているものについては、それに従って実施すればよいのですが、サンプリング方法を含めて測定法の手順が定められていないものがあります。その場合には、性状に応じて適切と思われる方法で実施することになります。

測定は特化則や有機則と同様に、作業環境測定士による実施が望ましく、6月以内ごとに1回実施するよう努めることとされています。

Ⅲ. 労働衛生教育

  • (1) 製造・取り扱う労働者と従事させる予定の労働者には、
    1. 物質の性状及び有害性
    2. 物質による健康障害と予防方法及び応急措置
    3. 局所排気装置その他のばく露低減する設備と保守・点検の方法
    4. 保護具の種類、性能、使用方法及び保守管理
    に関して労働衛生教育が必要とされています。
    がん原性物質では、その他に
    • 対象物質等を使用する業務
    • 作業環境の状態の把握
    • 関係法令
    も規定されています。
  • (2) 教育に必要な時間は、変異原性物質では4時間、がん原性物質では4.5時間とされています。
    指針の規定は導入時の衛生教育がですが、教育の効果を持続させることは難しくまた物質の情報は頻繁に改訂されるので、定期的に繰り返すことが必要でしょう。

Ⅳ. 危険有害性等の表示、通知等

がん原性物質・変異原性物質が、安衛法第57条、第57条の2の表示・通知対象物であれば、これにもとづいて容器・包装に表示を行い、SDSの交付等で通知します。SDSが交付された場合は、受領者は安衛法第101条第2項に基づいて、通知事項を作業場に掲示などの方法で労働者に周知します。表示・通知対象物質でない場合でも、労働安全衛生規則第24条の14、第24条の15の規定に準じて表示・通知を行います。

通知(SDS)では、①名称、②成分とその含有量、③物理的・化学的性質、④人体に及ぼす影響、⑤貯蔵・取扱い上の注意、⑥流出その他の事故が発生した場合の応急措置、⑦通知者の氏名・住所・電話番号、⑧危険性・有害性の要約、⑨安定性・反応性、⑩適用法令、⑪その他参考事項とされており、このうち表示では①、②、④、⑤、⑦、⑨、⑧の危険有害性の要約のうち注意喚起語と標章が求められています。

Ⅴ. 労働者の把握

がん原性物質・変異原物質等を製造・取り扱う労働者について、1年を超えない期間ごとに、

  1. 労働者の氏名
  2. 従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間
  3. 変異原化学物質により著しく汚染される事態が生じたときは、その概要及び講じた応急措置の概要

を記録し、30年間保存するよう努めることとされています。

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