三菱ケミカル株式会社 様 (旧三菱レイヨン機樹機化G)

GHSの分類評価、並びにSDSの作成、ラベル要素の出力を行うために導入。
三菱ケミカル株式会社 様 (旧三菱レイヨン機樹機化G)概要

高機能化学部門 機能化学品本部 技術統括G マネジャー
上田 昭史 様
高機能化学部門 機能化学品本部 技術統括G マネジャー
佐藤 彰 様
高機能化学部門 機能化学品本部 技術統括G
川田 亜津子 様
GHSロジストを導入いただいた経緯を教えていただけますか。
手作業によるSDS作成からの脱却が急務でした。
導入いただいているサービス:GHSロジスト
GHSの分類評価、並びにSDSの作成、ラベル要素の出力を行うために導入。GHS施行を契機に、それまでの手作業によるSDS作成から一足飛びに自動化へ舵を切った。現在ではSDSの作成から集積、そしてお客様へ提供するところまでを一貫して行っている。弊社では2006年12月のGHSの施行を控え、SDSの自動作成ソフトとしてJCDBさんのケミオーサー(SDS総合管理システム)を2004年に導入しました。(その後2006年にGHSロジストへとバージョンアップ) 弊社の製品は混合物が大半であるため、GHS導入時の判定作業に大変な労力がかかることが予想されたからです。
それまで、SDSの作成は手作業でした。基本となる数種類のフォームを使用して、各事業所の担当者が製品ごとに異なる成分や物性の記載内容を変更する形で対応していたのです。当時の日化協の指針ではそれで特段問題はなかったのですが、GHSが導入されるとなるとそうは行きません。個別の分類判定が不可欠になります。また、法規や規制表示などの改正に対応しきれなくなるという危惧もありました。そこでWEBで調べたり、各社の展示会にお伺いしたりして、いくつかのシステムを検討することになったのです。
導入の決め手はどこにあったのでしょうか。
イントラ環境で使えるというところがポイントでした。
JCDBさんを初めとする数社にお声がけしてプレゼンを依頼し比較検討した結果、最終的に後にGHSロジストへとバージョンアップされるケミオーサーの導入を決定しました。これは弊社の取り扱う混合物にうまく対応していることや、使い勝手と価格とのバランスが良いということもありましたが、一番大きかったのはイントラ環境で利用できるということ。もう一社候補に挙がったシステムもありましたが、そちらはインターネット経由でのサービスだったんですね。セキュリティ観点からの懸念もありますし、ケミオーサーがイントラ対応だったこともあり、これなら弊社のネットワークの中へ組み込んで使える、というところがポイントでした。余談ですが、他社さんの中にはホームページ上には記載があるにもかかわらず、問い合わせてみたらすでにサービスを提供していないというケースもありましたよ(笑)。
GHSロジストへの移行時にはご苦労がありましたね。
手作業でのGHS対応がいかに大変かを思い知りました。
手作業でのGHS対応は当初から考慮しておらず、システムで対応するためにGHSロジストを導入しましたが、伏兵が潜んでいました。ケミオーサーからGHSロジストへ移行するまでの間、数ヶ月間だけ手作業で行うことになったんです。当初、GHSロジストでは完全に分類しきれないものもありましたからね。システムをフォローしながら入力し、判定をかけながら日々作業を進めていった記憶があります。JCDBさんと二人三脚で、文字通り、走りながら考えていました。それはもう大変な作業でしたよ。GHSの施行・導入当時は国の指針としての材料も少なく、基になる化学情報もそれほど多くあるわけではありませんでしたからなおさらです。しかも期日も決まっていましたしね。泣いても笑っても12月1日までということで、SDSよりも法的拘束力が強かったラベルを優先して行いました。開発品であれば手貼りでも対応できますが、製品の場合は量が膨大ですからそうもいきません。弊社では工場で生産と同時にライン上でラベルを貼れる仕組みを作っていますので、GHSロジストから出たCSVデータをプリントする工場側のシステムとの調整も不可欠でした。
導入の効果についてお聞かせいただけますか。
判定作業のスピードが格段に上がりました。
以前の手作業によるSDS作成と比較すると、およそ五分の一程度の所要時間でSDSが作成できるようになりました。当時はGHSの判定作業がなかったことも考慮に入れると、かなりの時間短縮になっていると言っていいでしょう。新規データの作成は年間数百に及びますので、トータルすると大きな省力化が図れている計算になります。さらに特筆すべきこととして、更新作業が早くなったことが挙げられます。住所変更などのように全体に波及するデータの更新も、GHSロジストの導入後はほぼ1日で適用が完了するようになりました。また、システムのカスタマイズが必要になった際には、毎回無理難題の部分が出てくるのですが、JCDBさんにはうまく工夫・対応していただいているのでとても助かっています。
現在は幅広い部署でご利用いただいているとお聞きしています。
製品特性に合わせたカスタマイズがそれを可能にしました。
当初は私たち機能化学品グループで使うために導入したGHSロジストですが、樹脂部門などでも使うようになり、対象となる製品は6,000種類を超えています。それだけでなく、子会社や関連会社、そして中国の連結子会社などでも利用するようになりました。ただし部署や事業所ごとに性質の異なる製品を扱っているためにSDSの体裁や記載内容が変わってくるということもあり、利用の拡大にあたってはそれぞれの製品特性に合わせた個別のカスタマイズが必要です。例えば、関連会社の取り扱う製品に合わせたテンプレートの準備やシステムへの搭載、混合品の成分となる化学物質情報の添付などが挙げられます。それらは社内で対応できる部分もありますが、システムの土台となるところはやはりJCDBさんにお願いする必要があります。そのため、各社・各部門の担当者と折衝を重ね、上がってきた要望などをJCDBさんにフィードバックして改造していただいています。その上で使い方のルールを設定し、初めて運用することができるというわけです。
今後の展開予定について教えてください。
海外のGHS分類データの追加、並びに海外対応計画があります。
国内だけを見ている場合は日本のGHSに合わせた和文のSDSで良いのですが、海外へ製品が出て行くようになってきますと、相手国のGHSに合わせる必要が出てきます。弊社の製品は混合物が多いため、個々の成分の分類が日本と輸出先とで異なれば、必然として表示も変えなければなりません。国によってGHSの導入レベルも異なっていますので、それらに対して今後どのように対応して行くかについて検討を始めています。
一番単純な方法はもうひとつデータベースを用意してそちらで分類することですが、これを全体で行うのは大変な負担となるため、あまり現実的ではありません。ある程度取捨選択したデータをGHSロジスト上で運用するか、またはカスタマイズで対応するか、そのあたりが今後の課題ですね。JISでの要求も増えてくるでしょうから、いずれにしても都度対応の必要は出てくると思います。