三井物産株式会社 様

広範にわたる業務を円滑に遂行するためのツールとして、JCDBのサービスを複数導入いただいている。中でもezCRICとSDS作成受託サービスの利用頻度が高い。
最初に導入いただいたサービスについて教えてください。
CD-ROM版のezCRICを1枚導入したのがはじまりでした。
導入いただいているサービス:ezCRIC(イージークリック)・ ezADVANCE(イージーアドバンス)・LOLI(List of Lists)データベース・SDS作成受託サービス・役務提供
コンプライアンス・業法対応室は、化学品を取り扱っている2営業本部(基礎化学品本部・機能化学品本部)が営業活動を行う上で遵守しなければならない法令や規制などを把握し、安全貿易とトレードコンプライアンスについて包括的に管理する部署である。その広範にわたる業務を円滑に遂行するためのツールとして、JCDBのサービスを複数導入いただいている。中でもezCRICとSDS作成受託サービスの利用頻度が高い。一番初めに導入したのは2004年、CD-ROM版のezCRICです。最初はCD1枚を導入したのですが、導入の翌月には10枚、そして3ヶ月も経たないうちに100枚と、どんどん増えて行きました。なぜかと言えば、それまでは体系立てて標準化されたものがなかったんですね。なにしろ、日本の法律は難しく、しかも化学品にまつわる法律はたくさんあります。一万種類以上もある化学製品について、どれが該当法令にあたるのかという法令チェックを個々の社員が属人的に行っていましたから、それはもうたいへんでした。そんな状況の中、化学物質名を入力するだけで、該当法律を瞬時に検索して閲覧できるソフトが導入された。きちんと整理された情報がクリックひとつで取り出せるのは画期的なことでした。これは便利だということで、あっという間に利用者が増えたというわけです。そしてそれから2年弱、ちょうどJCDBさんがWEBでのサービス提供を始められた頃ですが、2006年の3月にはイントラネットへ乗せて使うようになりました。おかげさまで2014年3月現在、ユーザー数は約700名となりました。
いまでは全社でezCRICをお使いいただいていますね。
さまざまな部署で扱う商品に、化学物質が含まれているケースがあるからです。
ezCRICは主に化学品業務部で利用していますが、その汎用性の高さから今では全社へオープンにして、化学品以外にも利用しています。商社では、さまざまな部署で化学物質を含んだ商品を取り扱っている可能性があるからです。一例として、金属資源本部が鉄材を輸入する際にトルエンが同梱されていたというケースがありました。そうした場合、トルエンの適用法令を見て、国内デリバリーの法律要求にたり得るかどうかを検証しないことには通関ができないんですね。ところが彼らは鉄のことには詳しくても、専門外の化学品については明るくありません。そこでezCRICが役に立つというわけです。
新規の輸入品を取り扱う際には、まずその商品のCAS番号を知ること、そして、そもそも取り扱うことができるかどうかの確認作業が必要ですが、現在では営業担当者が自分でezCRICを使って行えるようになりました。取り扱えることが分かれば、そこから先は私たちの仕事。営業部から寄せられる「この製品にまつわる他法令をすべてチェックして欲しい」というリクエストを受けて、ezCRICの上位版であるezADVANCEを立ち上げます。そして取扱いの是非についてダブルチェックをかけた後、SDSやGHSラベルの準備を含めた輸入上の規則の把握や化学品の輸入通関手続き、そして必要な資格などについて確認を行い、そこで初めて会社としての輸入プロセスに乗る、という流れになっています。スタートラインはezCRIC、次のステップがezADVANCE、という使い分けですね。
SDSの作成には少なからず苦労されていたとお聞きしています。
法令チェック同様、属人的に行っていたので手間がかかりました。
輸入プロセスに乗って貿易手続きがスタートすると、次に必要となるのがSDSです。JCDBさんのSDS作成受託サービスを大々的に利用するようになったのは2012年の4月からですが、それまでは各営業担当が厚生労働省のサイトへアクセスして、そこに記載されているGHSに準拠したモデルSDSを参照して作成するなど、各人が試行錯誤しながらなんとか社内で対応していました。成分組成が少し複雑なものになると、私たちコンプライアンス・業法対応室へ問い合わせが来るので、その場合にはJCDBさんにお願いするなど、文字通りの個別対応で対応していたのです。
そろそろ品質の均質化を図る必要があると考えはじめていた頃、ちょうど2012年にGHS対応の努力義務が導入されることになり、かなり広範囲にSDS、ラベルの提供努力義務が生じました。そうなるとさすがに社内対応、個別対応ではとても追いつきません。そこで、JCDBさんに全面的にご協力いただくことにしました。JCDBさんの提供されるサービスの中にSDS作成ツールがありますが、使いこなすにはやはりある程度の専門知識は必要ですからね。知識の多寡にかかわらず誰もがSDSを作成できるというわけにはいきませんので、ここはSDS作成受託サービスが良いだろうという判断です。今では全体の業務フローの中に組み込まれています。
化審法に基づく届出の業務はすべてJCDBにお任せいただいています。
作業負担がなくなるだけでなく、精度も上がる。やはり「餅は餅屋」です。
ezCRICで調べ、ezADVANCEで確認し、SDS作成受託サービスを活用して製品と情報を提供する。そして最後の仕上げとなるのが化審法に基づく届け出です。
JCDBさんのサービスで言えば役務提供に当たる部分ですが、これは最初からお願いしてしまいました。と言いますのも、どれだけ難しいか、手間がかかるかということが読めていましたので(笑)。営業担当者は、自分たちが扱っている商品に含まれている化学物質は何か、ということはわかっています。しかし、化審法に基づく届け出を行おうとすると、商品ごとに使っている化学物質を横断的に調べる必要や、CAS番号と化審法番号の紐付けなど、膨大な作業が必要になります。しかも3月の決算で締めてから6月の届出までのわずか2ヶ月程度の短い期間の中でそれを行わなければなりません。さらに、弊社では取り扱っている商品の品目が多いため、すべてにわたって間違いがあるかどうかの検証を行うのも極めて困難です。そこで、ここは専門家であるJCDBさんにお任せしようということになりました。データをお送りして、その場で検証いただいて、戻していただいたものをこちらで再検証する。とにかくラクなので、一度お任せすると、もう後には戻れません。
ちなみに同業他社で業務委託をしていない会社では、届出の時期になると担当者がゴールデンウィークも返上して、ひたすら残業の毎日になると聞いています。照合したりまとめたりという比較的単純な業務ではありますが、その作業量はとにかく膨大です。加えて期日遵守は絶対ですから、そうでなくとも短い日程の中で必死に格闘しなければなりません。想像するだけでも冷や汗が出て来ますよ。弊社がもしJCDBさんにお任せしていなかったらと思うと、他社さんのお話ながら、とても他人事とは思えません。
今後のサービスについて、ご要望があればぜひ教えてください。
情報・人・開発技術者の力を融合した総合的なサポートを期待します。
SDSを作るときに、該当する日本の法令を書き入れる「適用法令の項目」というものがあります。ezCRICに格納されている法令リストは約30ありまして、通常はそれで十分なのですが、例外的にそれ以外の法令についての確認が必要となる場合が出てきます。たとえば、燃えやすい溶剤系の製品に対して石油備蓄法が適用になるかどうか。それら個別の法令を、ezCRICでチェックできる法令リストへかんたんに追加できるようになれば、いっそう便利になると思います。
また、どの法令が適用対象となるかどうかの判定が難しいというケースがありますので、その手助けをお願いできるようになるととても助かります。まず始めに税関の判断によって適用法令が仮定され、それを受けて最終的に経産省が用途などを確認しつつ判定をして行く…というようなプロセスですので、システマティックに対応するだけでは難しいんです。今後可能であればコンサルティングのような形で判定に関与いただけるとありがたいですね。
次のステージではJCDBさんがお持ちの情報と人、そして開発技術者の力を融合させた総合的なサポートをご提供いただけることを期待しています。