ディップソール株式会社 様

製品の輸出に関わる業務(SDS作成や海外インベントリのチェック)を中心に、化学物質管理業務のサポートツールとしてJCDBの提供サービスを複数導入。現在はezSDSを中心に活用中。
ディップソール株式会社 様概要

製造管理本部 市原工場
化学物質管理課 課長
根本 淳史 様
化学物質管理課
藤崎 弘之 様
※所属・役職は取材時のものとなります。
弊社サービスをご利用いただくことになったきっかけについてお伺いできますか。
SDSに対するGHS対応の厳格化が進んできたことです。
まだSDSがMSDSと呼ばれていた頃は、すべて手作業で作成していました。もちろん大変な作業ではあったのですが、当時はそれでまだなんとか凌げていたのです。
確か2006年だったと思いますが、JISと安衛法(労働安全衛生法)の双方にGHSに基づく化学物質等の表示が義務づけられましたよね。そのあたりから一挙に各所からの要求レベルが上がってきました。とても手作業で対応している場合ではなくなる、ということが確実になってきたわけです。
当時、輸出品に貼付するSDSラベルのGHS化要求がピークに達しつつありました。藤崎はそのころ営業職だったのですが、代理店さんをはじめとして各方面からGHS対応はまだか?どうなっている?と催促され続けていたと聞いています。
そうした状況を受けて製品設計の開発者や海外営業など、各部署の担当者が選抜されて社内でGHS対応のプロジェクトが発足したのですが…SDSもGHSもある意味とてもニッチかつマニアックな業務領域なので、これらをすぐに理解しろと言っても一朝一夕にはいきません。結局のところ「GHSとは何か」が理解できているのも、SDSが作成できるのも、実質的には私(根本)ひとりだけと言う状態でした。
経産省のGHS混合物分類判定システムなどを使って対応を始めてはいたのですが、弊社の製品はざっと1,000種類に及びます。マンパワーで対応するにもおのずと限界がありますでしょう(笑)。ソフトを導入しないと早晩回らなくなるだろうという危機感もあり、GHS対応に向けてソフトを選定することになったのです。
弊社サービスをご検討いただいてみていかがでしたか。
ソフトの機能もさることながら、JCDBさんのスタッフの知見に舌を巻きました。
ソフト選定のために本社へ出向いた時点で、候補は3社に絞り込まれていました。
いざ比較検討…という段になって驚きましたよ。
なんと、JCDBさん以外の2社製品はエクセルでマクロを組んだ程度のレベルでした。
これはもう最初から勝負にならないな、と思いましたが、それにも増して驚いたのがJCDBさんのスタッフの知見の深さ。
製品説明を受ける際、こちらがよくわかっていない分野の質問にまで及んだのですが、その全てが即答でした。受け答えに全くよどみがないばかりか、たいへん分かりやすくご回答いただけて、SDSやGHS分類について本当によくご存じなのだということがわかりました。日本でトップレベルのケミカルデータベースをお持ちの上、スタッフの知見も深いとなれば、選ばない理由はありませんでした。まさに救世主だったといってもいいですね。
具体的なご活用方法についてお聞かせください。
できるところから確実に、ステップ・バイ・ステップで進めています。
手作業対応ももはやこれまで、となったのが2010年。そこで現在使っているezSDSの前身としてMSDSnaviを導入させていただき、そこから約1年かけてSDSのGHS対応を進めていきました。
まず始めに手がけたのは日本語版SDSのGHS化です。輸出通関手続きはどこの国でも英語が基本なので英語版のSDSが重要となりますが、その基本となるのは日本語のSDS。ここがしっかりできていなければ技術翻訳もうまくできませんからね。その頃には既に藤崎もスタッフに加わっていましたが、マンパワーに限界があることに変わりはありません。MSDSnavi はGHS分類の計算や国内法の該非チェックなどを自動で行ってくれるため、作業性が飛躍的に高まったのにはずいぶんと助けられました。
もっとも、すべての作業を一気に行えるわけではありませんので、ステップ・バイ・ステップで進めて行きました。100点満点ではなく、明らかに間違っている情報を修正する、または明らかにこれが原因で通関が止まるという問題を回避するという「合格点」を目指す考え方です。
それに基づいて作業を進め、日本語版のSDSができたら英語版、それが終わったら次はUN番号の見直しでした。適切な番号を付与しないと輸出入の手続きの際に支障が出る可能性があるため、UN番号は輸出入に直接影響してきます。
ここで役立ったのがezADVANCEです。
国内法のチェックはもとより、輸出入統計品目番号や容器、ラベル、積載方法などの輸送上の規則、物質ごとの輸出対象国のインベントリがチェックできますから、ezADVANCEを導入したことでUN番号の付与精度も格段に上がりました。
ちなみにMSDSnavi からezSDSへ切り替えたのはスペース効率と使い勝手の面からです。MSDSnaviはデータベースを搭載したノートPCをレンタルして使うサービスだったので、どうしても物理的にスペースを取ります。もうひとつはデータベースが更新される都度ユーザー側からアクセスしてアップデートする必要があったこと。JCDBさんからezSDSをご紹介いただいた際、クラウドでサービスが提供されるezSDSならばその両方が解決できることがわかり、セキュリティもしっかりと担保されているというご説明も受けたので、安心して切り替えることができました。
今では「この費用でこの機能」というezSDSに大変満足しています。
さらに申し上げれば、この先「新しい機能がこれだけ付加されたのでezSDSの価格を改訂します」というご連絡を頂く日が来ても良い、とさえ考えています。
今まで以上に効率的な仕事ができるようになれば、こちらはその分のリソースを他の業務に割くことが出来ますからね。
全世界のSDS管理を化学物質管理課が一手に担っておいでとか。
SDS作成は日本で、ラベル制作は各国拠点で。分業体制で対応しています。
苦労の甲斐あって日本語版/英語版のSDSをGHS対応できたのが2012年頃でしたが、ちょうどその前年あたり(2011年5月)に中国でのGHS対応ラベル表示が実施されました。
そのあたりから諸外国、特に弊社の支店・関連会社があるアジア各国でもGHS対応の動きが活発化してきましたので、2013年の中国語版を皮切りに各国SDSへの対応を始めました。もっとも、冒頭でも申し上げたようにSDSの作成はすぐに、誰にでもできるというものではありません。一方で、SDSの管理部門である化学物質管理課は根本・藤崎の2名体勢でしたから、全世界分のSDSの管理と作成を一手に引き受けるというのも現実的には困難です。そこで、SDSの作成は化学物質管理課で、ラベル制作は各国拠点でという分業体制を採ることにしました。
化学物質管理課はezSDSの助けを借りてSDSを作成し、そのデータを基に「どこへ何を記載すれば良いか」を定めたラベルのフォーマットと「容器のどこへどう貼るか」というルールを定める。各国拠点ではSDS記載のデータをフォーマットのどこへ転記すれば良いかを理解し、それに従ってラベルを作成して容器へ貼付する。業務を明確に切り分けたことで、こちらで作成したSDSデータをエクセルに書き出し、それをメールで送って現地でラベルを作成するというスキームが出来上がりました。
今後の展開や活用計画についてお話いただけますか。
全製品のGHS分類見直しを行っている最中です。
弊社が保有・販売している製品は約1,000種類に及びます。使用する原料は340種類以上もあり、2社購買・3社購買も当たり前です。
1原料が必ずしも1成分ではありませんし、データが公開されていない成分も多い。
さらに申し上げれば、購入した原料に添付されているSDSが正しい保証はないのです。
それらもしっかりと検証した上で、正しく間違いのない日本語のSDSを作らなければなりません。
そこで今年度(2018年)は全製品のGHS分類の見直しを行っています。膨大な工数を掛けて行うこの作業においては、ezADVANCEとezSDSの存在が頼もしいことこの上ありません。